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関節リウマチ

関節リウマチについて

関節リウマチは、手や足の関節が腫れて痛む疾患です。
人間の免疫システムは、体内に侵入する細菌やウイルスと戦う働きを持っていますが、リウマチは免疫が自身の関節を攻撃してしまう、自己免疫疾患の一種です。この免疫の「誤動作」が関節に炎症を引き起こし、最終的には関節の破壊と変形に繋がってしまいます。
リウマチは女性・男性の割合が1:4と、極めて女性に多く見られる疾患です。
発病年齢は主に40代~50代ですが、10歳未満から70歳以上と、幅広い年齢層で見られます。
炎症が続いて関節が破壊されると、元の状態へ回復できなくなり、生活に悪影響を及ぼします。そのため、早い段階からリウマチを適切にコントロールする治療を受けることが重要視されています。

初期症状の痛みについて

以下の症状は、関節リウマチの初期症状としてよく見られるものです。

  • 倦怠感、体が重く感じる
  • 食欲不振、体重減少
  • 発熱(微熱程度)

代表的な症状

関節リウマチが進行すると、次のような症状が現れます。

  • 手の指や手首、肘、肩、膝、足首、足の指などの関節痛、腫れ
  • 手足のこわばり(特に朝起きた時)

関節リウマチが起こりやすい部位

特に、手の指や手首、肩、膝、足首、足の指などが起こりやすいとされています。さらに、左右両側の関節に症状が現れるケースもよく見られます。

関節リウマチの原因について

関節リウマチの根本的な原因はまだ明らかにされていません。ただ、免疫の異常な作用によって、関節の内部を覆っている滑膜が攻撃されることで、炎症を引き起こすと言われています。
また、関節リウマチを発症しやすい・しにくい体質には、遺伝が関与しているとされています。

発症の要因

細菌やウイルスの感染、過労、ストレス、妊娠・出産、喫煙などが引き金になることが多いと言われています。

サイトカインによる炎症の悪化

IL-6やTNFαなど、サイトカインと呼ばれる物質が過剰に分泌されると、炎症がさらに悪くなります。治療に使用される生物学的製剤は、このサイトカインの活動を抑える働きを持っています。

リウマチを発症しやすい方の特徴について

女性

女性の関節リウマチの発症率は男性の約4倍です。妊娠や出産に伴うホルモンバランスの変化が影響しているのではないかと指摘されています。

30~50代の方々

関節リウマチは10~60代まで広く見られる疾患ですが、特に多い年代は30~50代です。
時折、幼少期にも発症することがあり、その場合は若年性特発性関節炎(JIA :Juvenile Idiopathic Arthritis)と呼ばれます。

喫煙している方

喫煙者は非喫煙者と比べて、関節リウマチの発症リスクが高い傾向にあります。さらに、関節リウマチだけでなく、間質性肺炎などを併発することもありますので、できる限り禁煙をお勧めします。

遺伝

関節リウマチのかかりやすさについて、遺伝が関与していることが指摘されています。親族のうち3親等以内に関節リウマチの発症例がある場合、発症リスクが高まる恐れがあると考えられています。

リウマチの検査について

関節リウマチの診断には、血液検査だけでなく、レントゲンや臨床所見などが総合的に評価されます。
初期の症状では骨の異常が見られないこともあるため、場合によっては超音波検査やMRI検査が必要となります。
中でも、超音波検査は炎症の有無を確認する際に非常に有効です。

治療方法について

関節リウマチの薬物療法

関節リウマチの治療においてメインになるのは薬物療法です。
抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などを活用し、炎症や痛みを軽減して病気の進行を防いでいきます。
また、関節の腫れが慢性的に続いている場合には、ステロイドを関節内に注射することがあります。ステロイドの使用には期限を定めて、適切に行います。

痛みの緩和:動作の回復を促すためのリハビリテーション

痛みの緩和や関節機能の回復を目指すため、リハビリテーションを行います。筋力を高めたり可動域を広げたりするリハビリテーションを実施します。

関節変形を矯正するための手術・人工関節手術

薬物治療やリハビリテーションを行っても十分な効果が得られなかった場合には、手術を選択することもあります。

寿命への影響について

治療を受けるにあたり、患者様も「完治」を目指されます。医療機関も同じ気持ちでおり、実際、炎症が軽度の場合、完治率が高くなっています。(※ここでの完治とは、通院や服薬が不要になることを指します)
しかし、どのリウマチでも完治できるとは限りません。まずは、通院・薬物療法によって症状を抑えられる「寛解」を目標とします。

リウマチを発症した方の生存率・寿命への影響について

一般的に、リウマチの患者様はそうでない方と比べて、10年程度寿命が短いとされています。
これはリウマチ自体より、痛みや筋力低下によって痰を排出することが困難になり、間質性肺炎などを合併することが影響しているのではないかと考えられています。
また、歩行困難により運動不足となり、循環器疾患の発症リスクが高まると指摘されています。
リウマチを防ぐことが何よりも重要ですが、遺伝要因も影響を及ぼすとされています。発症後は、早期に適切な治療を受けることが、寛解を目指す上で重要となります。

リウマチ患者様が避けるべき習慣・注意点について

喫煙

前に述べた通り、喫煙は、発症の誘因となり得る習慣です。また、発症後も喫煙の影響により、治療効果が低下したり、関節の破壊や肺炎の合併症リスクが高まったりする危険性が指摘されています。

ストレスが多い生活

ストレスは、関節リウマチの発症や悪化を招く要因です。
ストレスを完全になくすことは不可能ですが、ストレスを溜めにくい環境を作ったり、リフレッシュできる方法を見つけたりすることを心がけましょう。

動かない生活

1日中座りっぱなし・寝てばかりの生活を過ごすと、筋力が低下したり関節の動きが制限されたりします。医師や理学療法士、作業療法士と協力しながら、適度な運動量を維持していきましょう。

過労

「病は気から」と言いますが、無理をして働き過ぎると疲労が溜まり、症状が悪化しやすくなります。これまで頑張りすぎた場合には、働き方を一度見直してみましょう。

激しい運動

激しい運動は症状を悪化させる恐れがあります。また、運動に対して、苦痛を感じてしまうこともあります。
特に、急性期や症状がひどい時には、激しい運動は控えるよう心がけてください。

足に合っていない靴

関節リウマチの状態で、つま先の細い靴や高いヒールを履き続けると、関節の変形が進みやすくなります。
靴のサイズ(長さ)だけでなく、足幅にも考慮してご自分に合った靴を選び、ヒールの高いものは可能な限り避けるようにしましょう。