人間ドックで行われる検査と、検査から分かる病気

心電図

心電図心臓が動く時に体内から発生する電気活動を、身体の表面から読み取って記録していく検査です。動悸や胸痛、呼吸困難、失神などの症状や原因を探すことができます。
健康な方の場合は、規則正しい波形のデータが取れますが、何らかの異常があると乱れた波形のデータになります。
ベッドで寝ていただいた状態で、手首と足首・胸部に電極を取り付けてから記録を開始します。電気を身体に流す検査方法ではないため、検査時の痛みはありません。

分かる病気

  • 不整脈
  • 心肥大
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
不整脈とは、心拍が正常より早く打ちすぎる(頻脈)、ゆっくり打ちすぎる(徐脈)または心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなどといった、心拍リズムが乱れてしまう状態です。失神や脱力感などの自覚症状が現れるまで、なかなか気付くことが難しい異常とされています。
全ての不整脈が重篤な疾患へつながるとは言い切れませんが、中には重い心疾患が隠れている恐れもあるため、医師からの説明はきちんと聞いておきましょう。

視力検査

視力検査近視や遠視、乱視といった屈折異常がないかを調べる検査です。 検査表や専用の検査機を使って、左右の目それぞれの、裸眼視力と矯正視力(コンタクトレンズや眼鏡を着けた時の視力)を測定していきます。 アルファベットの「C」のようなマーク(ランドルト環)を片目で見て、上下左右どこに切れ目が入っているのか、どのサイズまで切れ目が見れるのかを調べます。



分かる病気

  • 近視
  • 遠視
  • 乱視

聴力検査

聴力検査ヘッドホンを装着して、機械音が聞こえてきたらボタンを押していただくことで、どれくらい音が聴こえているかを調べる検査です。近年ではイヤホンやヘッドホンを着けて、大音量で音楽を聴く若年層が増えたことで、難聴に悩む方が増加傾向にあります。
また、人は年を取ると高い音が聞き取りにくくなる傾向があるため、定期的な聴力検査は重要といえます。


分かる病気

  • 聴力機能
聴力機能を損なう恐れがある疾患(突発性難聴やメニエール病、聴神経腫瘍など)を早く見つけ出し、専門的見地で治療することで改善を目指したり進行を遅らせたりすることができます。

眼底・眼圧検査

眼底検査とは、目薬を使って瞳孔を開き、眼球内にある網膜を観察する検査です。
失明の原因疾患の第1位である緑内障と第2位である糖尿病性網膜症はもちろん、網膜動脈硬化症や、視力が低下する黄斑変性などの眼科疾患がないかを調べていきます。
眼圧検査とは、眼球に直接風を当てることで、目の圧力(眼圧)を確認する検査です。
眼圧は低すぎても高すぎても良くありません。正常値より高かった場合は緑内障や高眼圧症が、低かった場合は網膜剥離や外傷が疑われます。
特に40代を超えた方は、眼科疾患の発症リスクが急激に高くなります。そのため、40代を超えましたら、定期的に検査を受けることを推奨します。

分かる病気

  • 視力低下
  • 緑内障
  • 白内障
  • 黄斑変性症

近年では医療技術の進歩によって、中高年の失明原因の第1位である緑内障なども早期発見・早期治療することによって、失明に至らないよう進行速度を遅らせることができるようになりました。視力が失われるとQOL(生活の質)が大幅に低下してしまいますので、特に40代以降の方は定期的な検診が必要です。
また、日帰り手術で治すことができるようになった白内障も、進行すると緑内障を併発する恐れがありますので、早期発見が重要です。

※日帰り手術について

手術は当日で終わりますが、手術前の検査や、術後の経過観察も行う必要があります。そのため、手術日以外でも通院していただくことになっています。

胃透視検査

胃透視検査(胃バリウム検査)とは、胃がんを早く見つける方法として国から推奨されている検査方法です。食道や胃・十二指腸で発生するポリープやがん、炎症、潰瘍などの疾患を見つけ、診断を下すために行います。
診断の精度は約7~8割ほどで、胃がん死亡率を減らす上で有効な検査だといえます。

分かる病気

  • 胃炎
  • 食道炎
  • 胃潰瘍
  • ポリープ
  • 食道がん
  • 十二指腸がん

血液検査

血液検査血液には、身体に関する情報がたくさん詰まっています。
採血検査を一回行うだけで、血糖値や脂質の異常・炎症がないか、臓器の状態など、多くのことを調べることができます。




分かる病気

  • 血糖値・HbA1c(糖尿病かどうかが分かる)
  • LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪
  • 腎機能
  • 肝機能
  • 膵機能
  • 甲状腺機能
  • 感染症の有無(B型肝炎、C型肝炎、梅毒など)
  • 炎症反応
「糖尿病」とは、糖尿病性神経障害や糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの合併症を引き起こす生活習慣病の一つです。合併症からQOLの低下を招いてしまう恐れがあるため、早期発見・早期治療を心がけ、合併症を防ぐ治療を進めていくことが極めて重要な疾患だと言えます。
LDLコレステロール値(悪玉コレステロール)が正常値より高いと、「動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクが高い」ということが分かります。数値が高いからといって自覚症状が出てくるわけではありませんが、放置し続けると動脈硬化はどんどん進行してしまいます。進行すると先述したような、生死に関わるような疾患になるリスクが高くなってしまいます。自覚できた時点ではもう動脈硬化はかなり進んでいる状態ですので、治療が難しくなってしまいます。
このように、血糖値やコレステロール値、中性脂肪などの数値を調べることは、生活習慣病の早期発見において非常に重要です。また、腎臓や肝臓、膵臓の数値も細かく調べていくことで、患者様一人ひとりに合ったアドバイスを提供することができます。
また、血液検査だけではなく、内視鏡や超音波(エコー)、CTなどの検査結果も確認して、患者様の状態を総合的に判断することで、より細やかに診断を行うことも可能です。
人間ドックで行われている血液検査は通常の健診よりも、このような数値をより細かく調べることができます。

腫瘍マーカー検査

「腫瘍マーカー」とは、がん細胞によって作られた特殊なたんぱく質や酵素などの物質です。実は、検査名のことを指しているのではありません。腫瘍マーカー検査では、腫瘍マーカーの数値の測定を行っていきます。
患者様から採取した血液を使って、数値を調べます。たんぱく質や酵素の数値からがんの発症リスクを調べ、内視鏡検査やCT検査の結果も確認してから診断を下します。

分かる病気

  • 悪性腫瘍

当院の人間ドックで測定可能な腫瘍マーカー検査

  • CYFRA(肺がん)
  • ProGRP(肺小細胞がん)
  • SCC(肺がん・食道がん・子宮頸部の扁平上皮がん)
  • CEA(肺腺がん・胃がん・大腸がん及び消化器系がん)
  • SLX(肺がん・消化器系がん・卵巣がん)
  • NSE(脳腫瘍・甲状腺髄様がん・肺小細胞がん)
  • CA19-9(胃がん・大腸がん・膵がん・胆道がん)
  • AFP(肝がん)
  • PIVKA-Ⅱ(肝がん)
  • Span-1(膵がん)
  • DUPAN-2(膵がん)
  • 尿中NMP22(膀胱がん・腎盂がん・尿管がん)
  • p53抗体(乳がん・食道がん・大腸がん)
  • CA15-3(乳がん)
  • BCA225(乳がん)
  • CA125(卵巣がん)

※括弧内に記載されている疾患があると、その項目の数値が高くなります。

腫瘍マーカー検査の項目数は非常に多く、肺がんや胃がん、大腸がんの腫瘍マーカーとして有効な「CEA」や、前立腺がんの腫瘍マーカーとして有効な「PSA」など、多岐にわたります。
また、CTや超音波検査(エコー)などの検査結果も一緒に見ていくと、より患者様の状態が総合的に分かるようになるため、がんの早期発見・発症リスク低下に有効と言えます。

腹部超音波検査(エコー検査)

腹部超音波検査

腹部超音波検査お腹にゼリーを塗ってから機械を使い、超音波を活用することで肝臓や膵臓、腎臓、胆のうの状態を調べる検査です。お腹の表面から撮影できるというメリットだけではなく、検査時の痛みがない、安全性が高いメリットもあるため、産婦人科では赤ちゃんの診察でよく活用されています。また、腹部の超音波検査は、膵臓がんの早期発見において不可欠なものです。


分かる病気

  • 肝臓がん
  • 膵がん
  • 腎臓がん
  • 膀胱がん
  • 卵巣がん
  • 前立腺がん
  • 脂肪肝
  • 胆血管腫
  • 胆のうポリープ
  • 胆のうがん
  • 胆のう結石症
  • 子宮筋腫
  • 前立腺肥大
肝臓がんは、B型・C型肝炎ウイルスによるものが多いと今まで言われてきましたが、近年では非ウイルス性の脂肪性肝疾患による肝臓がんが増えています。
肝臓がんは、男性の場合ですと45歳から、女性の場合は55歳から患者数が増えると言われ、男性の部位別がん死亡数の第5位(2018年調査)に位置しています。症状がない段階でも健康診断の結果で異常を指摘された際は放置せずに、精密検査を受けることを推奨します。
また、膵臓がんの場合ですが、膵臓は身体の奥深くに位置しているため、早く見つけ出すのが非常に難しいがん疾患です。さらに、初期段階でも転移するリスクはあるため、治療がほかのがん疾患より難しい傾向にあります。
特に「親族の中に膵臓がんになった方がいる」方は3ヶ月~6ヶ月に1回の頻度で、そうでない方でも1年に1回は超音波検査を受けましょう。
腹部超音波検査ではがんのほかに脂肪肝や胆のう結石症など生活習慣にかかわる様々な疾患、前立腺肥大など加齢に伴う様々な疾患の検出にも優れています。この検査で非常に多くの身体の情報が得られますので、1年に1回の定期検査をおすすめします。

頸動脈超音波検査

首にゼリーを塗って、超音波を活用して頸動脈(けいどうみゃく)の状態を調べる検査です。
頸動脈は頭部とつながっていて、大脳に血液を送る役割を担っている血管です。頸動脈に動脈硬化などの異常が起こると、脳梗塞や心筋梗塞など生死を左右する恐ろしい疾患になってしまう可能性があります。動脈硬化の時点で早く見つけ出し、少しでも早く治療することが大切です。

分かる病気

  • 動脈硬化
  • 頸動脈プラーク
  • 頸動脈狭窄症
頸動脈狭窄症は頸動脈が狭窄(狭くなること)を起こしている状態で、頸動脈プラークは頸動脈の壁が厚くなっている状態です。両方とも脳血流の悪化や血栓、脳梗塞の原因となるもので、治療を受けなければなりません。超音波検査できちんと検査をすることで、脳梗塞のリスクがあるか否かを予測することができます。
頸動脈にプラークがあった場合は、LDLコレステロールや中性脂肪、血糖値が基準値より高い可能性があるため、一緒に血液検査も受けることを推奨します。
これらの数値が高かった方は、ぜひ治療を受けてください。

甲状腺超音波検査

喉の部分にゼリーを塗ってから機械を使って、甲状腺に超音波を当てる検査です。甲状腺のサイズや腫瘍病変のある場所、性質、病変の大きさなどを調べるために行います。
甲状腺が分泌される甲状腺ホルモンには、身体の新陳代謝を高める役割を担っています。
しかし、甲状腺疾患を患ってしまうとホルモンバランスが崩れ、動悸や息切れ、無気力感、疲労感、極端な体重増加・減少、多汗、月経異常など、様々な症状が引き起こされます。中には、長期間治療を受けなければならない方もいらっしゃいます。また、甲状腺疾患は男性よりも女性に多くみられます。
なかなか自覚症状が現れないため、定期的に検査を受けることを推奨します。

分かる病気

  • バセドウ病
  • 橋本病
  • 甲状腺がん
  • 甲状腺良性腫瘍
  • 嚢胞(のうほう)
日本の甲状腺がんの約9割を占める乳頭がんは、進行スピードが遅く、治療しやすいがんです。中には自然と消失してしまうものもあります。しかし、年を取るとともに周囲へ広がったり、転移したりするリスクが上昇してしまいます。そのため、若い内から経過観察をこまめに続けることが重要です。甲状腺超音波検査で腫瘍の疑いがあった方には、細胞診検査などさらに細かい組織検査を受けていただきます。

乳腺超音波検査

乳房にゼリーを塗って、乳がんの疑いがないかを調べる検査です。マンモグラフィーとは違って、専用の台を使って乳房を挟み込まないため、検査時の痛みはありません。また、被ばくリスクもないため妊娠中の方でも受けられます。若年層の女性は特に、マンモグラフィーよりも超音波検査の方が病変を見つけやすい傾向にあります。
乳がんの検査では、乳腺超音波検査と一緒にマンモグラフィー検査も受けることで、より病変が見つけられやすくなります。ぜひ両方とも受けてみましょう。

分かる病気

  • 乳腺良性腫瘍
  • 乳がん
50年前、女性が一生涯の中で乳がんを発症する確率は、50人に1人程度だと言われていました。しかし現代になってからは、14人に1人程度と増加傾向にあります。
現在のところ、1年の中で6万人以上が乳がんだと診断され、年間1万人以上の女性が乳がんで命を落としています。
乳がんは早く見つけることができれば、完治できる疾患です。自覚症状が現れたり、乳房を触ったらしこりがあったりした段階では、すでにある程度進行している可能性が高いです。そのため自覚症状がなくても1年に1回は、超音波検査を受けることを推奨します。

胸部レントゲン

胸部レントゲン胸部にX線を照射して、肺や心臓、肺の間にある器官に異常が生じていないかを調べる検査です。肺の中に腫瘤(しゅりゅう)がないか、肺に影が写っていないか、肺に炎症があるかどうか、心臓が大きくなっていないかなどを調べます。




分かる病気

  • 肺気腫
  • 肺炎
  • 肺がん
  • 心拡大
  • 心肥大
喘息(ぜんそく)や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患などの呼吸器疾患にかかっている可能性がある場合や、それらの容態を診る時に行われます。
息を吸う・吐く力、酸素を取り込む力などを調べます。

肺機能検査

喘息やCOPD、間質性肺疾患などの呼吸器疾患の可能性があるか、疾患の状態を調べる時に実施される検査です。息を吐いたり吸ったりすることで、息を吐く力、吸う力、酸素を取り込む力などを測定します。

分かる病気

  • 肺炎
  • 結核
  • 喘息
  • COPD
  • 間質性肺炎
  • 肺気腫
  • 肺線維症

頭部MRI・MRA

頭部MRI・MRA横になっていただいたままトンネル型の装置の中へくぐって、頭の断面図を撮影する検査です。くも膜下出血を引き起こす未破裂脳動脈瘤、脳梗塞を引き起こす動脈狭窄が見つけられる検査ですので、脳梗塞などの脳血管疾患の早期発見・早期治療に有効な検査と言えます。
ただし、強い磁気を使う検査ですので貴金属などは検査前に外していただきます。
また、心臓ペースメーカーなどを埋め込んでいる方は、MRIを受けることができません。問診時には患者様がMRIに適しているかどうかをお聞きしますので、気兼ねなくご相談ください。

分かる病気

  • 脳腫瘍
  • 脳梗塞の疑い
  • 脳動脈瘤
  • 脳出血
脳腫瘍は、手術で腫瘍を摘出して命が助かった場合でも、性格が一変するなどの後遺症が出てしまう可能性があります。ただし、5年生存率は75%と他のがん疾患の中でも比較的高めです。
脳梗塞とは、脳の血管が急に詰まることで血流が止まり、脳細胞が死滅してしまう疾患です。最悪死に至る危険性があるだけではなく、無事助かっても言語障害や歩行障害などの後遺症が出てしまうケースはあります。
脳動脈瘤は、破裂するとくも膜下出血を引き起こしてしまうため、非常に恐ろしい疾患です。出血してしまうと最悪の場合、死に至ることもあります。
破裂する前の段階で発見できれば、手術や血管内治療を行って破裂を防ぐことが可能です。ただ、破裂する前の動脈瘤があっても、自覚症状は現れません。だからこそ、頭部MRI・MRA検査で見つける必要があるのです。長期間、検査を受けていない方はぜひ検査を受けてみましょう。

胸部CT

CTとは、X線とコンピュータ技術を駆使することで、身体の輪切り画像を撮ることができる検査方法です。
胸部CT検査では、気胸や肺がん、肺結核、気管支拡張症、胸部大動脈瘤、肺動静脈瘻、心臓疾患などの病変を、小さなものまで見つけ出すことが可能です。
腹部付近の横隔膜の裏側や心臓の裏側部分、他の臓器などに重なり合わずに、病変を見ることが可能ですので、がんを早期発見する上でとても重要な検査です。CT検査の普及のおかげで、がんの治癒率は大幅に高くなったと言われています。
胸部レントゲン検査だけでは見つけにくい小さな腫瘍も発見可能ですので、肺がんの早期発見においてはとても有効な検査と言えます。

分かる病気

  • 気胸
  • 肺気腫
  • 肺炎
  • 肺結核
  • 肺がん
  • 気管支拡張症
  • 肺動静脈瘻
  • 胸部大動脈瘤
  • 心臓疾患
胸部CTは肺がんだけではなく、肺気腫も見つけ出すことが可能です。日本国内における肺気腫の患者数は530万人もいると推定されていますが、その中の9割以上が、未治療のままだと言われています。しかし、「発見できた時点ではすでに、もう治療できないところまで肺胞の破壊が進行していた」というケースが多く、在宅酸素療法が必要になってしまうこともあります。

腹部CT

腹部の輪切り画像を撮るCT検査です。主に肝臓や胆のう、膵臓、腎臓、脾臓などを調べていきます。エコーとは違って脂肪やガスの影響は受けないため、エコーでは見えにくい部分も観察しやすいです。肝臓がん・膵臓がんなどの悪性腫瘍がないか、がんの進行度、腹部リンパ節への転移が起きていないかなどが確認できます。
病変を小さいうちから見つけ出せるため、肝臓や腎臓などの病変を見つけるのに有効な検査だと言えます。

分かる病気

  • 胆のうポリープ
  • 肝血管腫
  • 胆のう結石症
  • 肝臓がん
  • 膵がん
  • 腎臓がん
  • 胆のうがん
  • 卵巣がん
大腸がんや肺がんと比べて、胆のうがんの知名度は若干劣りますが、実はがんによる死亡原因の中では第6位を占めています。また、自覚症状が乏しいといった特徴もあります。
胆のうの周りには肝臓や胆管、大腸、十二指腸、膵臓といった、とても大事な臓器があるため、発見した時点ではすでに、他の臓器にも異変が起こっていることがあります。
腹部CTは胆のうがんだけではなく、胆のう以外の臓器にも、がんが生じていないかを見つけ出すのに有効な検査です。

マンモグラフィー

マンモグラフィー専用の機器に乳房を挟む検査で、乳がんの早期発見においてかなり有効な方法です。
ほとんどの地域では、乳がん検診としてマンモグラフィーが行われています。
ただし、若い方や乳腺が発達している方の場合は、検査時に強い痛みを感じる可能性があります。また、検査による乳房の痛みは、月経周期によって変わることもありますので、心配な方はお気軽にご相談ください。定期的に受診し続けられれば、乳がん死亡率が低下すると報告されています。

分かる病気

  • 乳腺良性腫瘍
  • 乳がん
乳がんは早期発見できれば、一部分だけ切除するだけで済みますし、10年生存率が90%を超えるがんです。ただし、発見が遅くなってしまうと乳房切除となり、生存率も低下してしまいます。乳がんは40~50代の女性に多くみられ、75歳未満の部位別がん死亡率においては第1位を占めています。
40歳を超えた方はもちろんのこと、親族の中で乳がん患者がいる若年層の方も、こまめに検査を受けることを推奨します。
どうしても検査時の痛みは避けられませんが、女性にとっては極めて重要な検査方法です。当院では経験豊富なスタッフが声をかけながら、痛みを最小限にした検査を提供できるよう努めています。

子宮頸がん検査

子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因で発症します。HPVには150種類以上もの型がありますが、その中でも子宮頸がんの発症と大きく関係しているのは13種類のタイプだと言われています。
子宮頸がん検診では問診と視診、内診に加えて、専用のブラシやヘラなどで子宮頸部の細胞を採取し、その採取した細胞を顕微鏡で調べる「細胞診」も行っています。

分かる病気

  • 子宮頸がん
検査結果は「精密検査不要」か「要精密検査」のどちらかの通知が来ます。
「要精密検査」だった場合は放置せずに、精密検査が受けられる医療機関へ受診する必要があります。
また、「精密検査不要」だった場合でも、子宮頸がん検診は2年に1回の頻度で受けることを推奨します。

胃内視鏡検査

胃内視鏡検査当院では胃内視鏡検査を受けていただく前に、今までに受けてきた内視鏡検査の状況・ご要望を伺っています。痛みを最小限にするために鎮静剤や極細のスコープを使うなど、「痛みが少ない」「患者様に我慢させない検査」が提供できるように努めています。検査自体は5分ほどで終わります。



分かる病気

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 急性胃炎
  • 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
  • 逆流性食道炎
  • 粘膜下腫瘍
  • GIST
  • 咽頭がん
  • 喉頭がん
  • 食道がん
  • 胃がん
  • 十二指腸がん
  • バレット食道
  • ヘリコバクター・ピロリ感染
胃の内視鏡検査では、食道や胃・十二指腸の状態を直接観察することが可能です。胃炎や胃潰瘍だけではなく、咽頭や喉頭、食道、胃・十二指腸のがんの早期発見にも有効な検査です。
食道がんや胃がんは進行するほど、完治が難しくなってしまいますが、早く見つけ出せばきちんと完治できる疾患です。特に内視鏡切除(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術:Endoscopic Submucosal Dissection)できるサイズの時点で見つけられれば、食道や胃を切除することなく治せます。小さいサイズの段階から早期発見できるようにするには、1年に1回、定期的に胃内視鏡検査を受けることが不可欠です。早期発見できれば、完治できるまでにかかる医療費や時間を抑えることができます。
また、胃内視鏡検査では、ピロリ菌に感染していないかを調べることも可能です。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査大腸内視鏡検査肛門からスコープを挿入し、大腸全体の様子を直接観察する検査です。患者数の多い大腸ポリープ・大腸がんを発見する上で、とても重要な検査と言えます。また、当院では、内視鏡検査中に大腸ポリープを見つけましたら、その場で切除できるように心がけています。
大腸内視鏡検査を受けていただく際は、前日から「消化の良い食事を摂る」「下剤を服用する」といった、前準備を行っていただく必要があります。
検査当日の朝は、ご自宅で腸管洗浄液(約1.8L)を2時間かけて飲んでいただき、腸の中をきれいにしていただきます。洗浄が終わりましたら、検査予約時間にご来院していただきます。患者様の状態によっては、追加の下剤や浣腸を使っていただくこともありますが、当院では極力、患者様の身体に負担がかからない方法を提案しています。
先端にカメラが付いている極細のスコープを、肛門から挿入して大腸の状態を直接見ていきます。また、ご希望の方には、鎮静剤を使った内視鏡検査も提供しています。
当院では、検査時の苦痛を最小限に抑えた、負担の少ない内視鏡検査を徹底しています。検査は5~10分くらいで終わります。レベルの高い内視鏡検査ですので、より安心して検査を受けていただくことができます。
また、検査では必要に応じて、大腸ポリープを切り取ったり組織を採って生検に回したりすることも行います。大腸がんは早期の場合、便潜血がみられないこともありますので、早期発見・早期治療を徹底するのなら、1年に1回の頻度で、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。

分かる病気

  • 大腸ポリープ
  • 大腸がん
  • 大腸憩室症
  • 内痔核・外痔核
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
大腸がんの患者数は男性ですと第3位で、胃がん、肺がんに次いで多いです。また、女性の場合は第2位に占めていて、乳がんの次に多いがん疾患です。がんによる死亡数は男性ですと第2位、女性では第1位を占めています。
近年では、高齢化と食生活の欧米化などの影響によって、患者数は増加傾向にあります。患者数も死亡者数も多いがんですが、早期発見できればほぼ治すことのできる疾患です。早期の大腸がんは自覚症状に乏しいため、定期的に内視鏡検査を受けて早く見つけ出す必要があります。
また、大腸内視鏡検査では、厚生労働省から指定難病として定められている潰瘍性大腸炎やクローン病といった疾患を見つけることも可能です。原因がわからない下痢や腹痛、血便、発熱、貧血などに悩んでいた方でも、原因を特定することで症状を最小限に抑え、健康な方とほぼ変わらない生活を送れる可能性は十分にあります。心配な方はぜひ検査をおすすめいたします。

ヘリコバクター・ピロリ菌検査

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無を確かめる検査です。ピロリ菌検査のやり方は色々ありますが、ほとんどの人間ドックで行われているピロリ菌検査は、尿中ピロリ抗体検査と迅速ウレアーゼ検査です。
尿中ピロリ抗体検査とは、尿の中にピロリ抗体があるかどうかを調べる検査です。抗体があった場合は、ピロリ菌に感染している可能性があります。身体に負担がかからないシンプルな検査ですので、検査当日中に結果が分かります。
迅速ウレアーゼ検査とは、胃内視鏡検査で胃の組織を一部採って、ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査です。この方法も、検査当日中に結果が分かります。
どの検査方法もかなり感度が高いため、正確な結果を提供することが可能です。
当院では、ピロリ菌感染がみられた方で、かつ胃内視鏡検査で萎縮性胃炎(慢性胃炎)などの疾患が認められた方には、ピロリ菌除菌療法を提供しています。

分かる病気

  • ヘリコバクター・ピロリ菌感染
ピロリ菌は胃がんを引き起こす要因になります。日本人は昔からピロリ菌感染率が高かったことから、胃がんの患者数も多かったのではないかと考えられています。
ピロリ菌に感染していた場合は、除菌薬を服用していただく除菌治療を選択します。除菌薬は7日間服用していただきます。
薬を服用しきってから約一ヶ月後には、尿素呼気試験という簡単な検査を受けていただき、ピロリ菌が完全除去できたかを確認します。近年では、除菌薬の質が以前より高くなったため、約9割の患者様が1回治療を受けただけで完全除去に成功しています。
どうしても完全除去できなかった場合は、二回目の除菌薬の服用を行っていただきます(2次除菌)。ピロリ菌の除去に成功できた場合、胃がん発生のリスクは25%~30%までに下がることが報告されています。

尿検査・尿沈渣

尿検査を行う際は、「当日起床してからすぐに採取した尿」を持っていただきます。朝一番に採取した尿は適度に濃縮されているため、タンパクなどを検出しやすく、より正確な診断が行えるからです。尿検査では、腎臓や膀胱などに関係する疾患の有無が判明します。

分かる病気

  • 尿路感染症
  • 腎症(糖尿病、慢性腎臓病・腎炎など)
  • 泌尿器系の悪性疾患(腎臓がんや膀胱がん、尿管がんなど)

腎臓は、血液に含まれた老廃物・不要物をろ過して、尿として排出するという重要な役割を担っています。腎臓の機能が低下すると、免疫機能も一緒に低下します。また、腎機能は、下痢や嘔吐による脱水が原因で、急激に悪くなることもあります。
尿検査では尿タンパクや尿糖、尿潜血などの数値を調べることにより、糖尿病をはじめとする生活習慣病や尿路感染症、慢性腎臓病、腎炎などの腎臓・尿路疾患や、前立腺炎や泌尿器系の悪性腫瘍なども早く見つけ出すことができます。
さらに、尿検査では、腎疾患以外にも、急性・慢性肝炎や胆管結石など、肝臓や胆のうの疾患の有無を調べることができます。
腎機能などが低下すると、様々な合併症を引き起こすリスクが高くなり、透析など患者様にとって大きな負担となる治療法が必要になってしまう恐れがあります。QOLに大きな悪影響を及ぼしてしまわないよう、早めに検査を受けて早期発見・早期治療に努めましょう。

尿枕渣(にょうちんさ)

尿を遠心分離機にかけ、沈澱した赤血球や白血球、細菌、尿酸結晶、細胞などの量・種類を調べる検査です。尿タンパクや尿潜血などで、陽性判定が出た方に対して行われます。
固形成分が正常値より高かったり、円柱細胞などが発見されたりした場合は、尿路や腎臓などの疾患にかかっている可能性があります。また、全身のあらゆる疾患を診断する際の判断材料としても、かなり有効な検査だと言えます。
異常が出たと指摘された方には、さらに腎機能検査、尿路系のX線検査、画像検査(超音波検査やCT検査など)の二次検査を受けていただきます。

便潜血検査

ご自宅へ郵送した検査用スティックを使って便を採取し、容器に入れていただいた状態で提出していただく検査です。採取した便は、冷蔵庫などの冷暗所で保存してください。消化管出血や出血を伴った大腸がんを早く発見するのに有効な方法です。

分かる病気

  • 消化管出血
  • 大腸ポリープ
  • 大腸がん
大腸がんは患者数の多いがんです。特に女性のがんによる死亡数では、第1位を占めています。ただし、医学の進歩によって大腸がんは、初期段階のうちに発見して早めに適切な治療を受ければ、ほぼ100%完治できるようになったと言われています。
また、近年では毎年検査を受けることで、大腸がんによる死亡リスクが6割も減るという報告がされています。この報告から、1年に1回の便潜血検査は非常に有効であることが分かります。
また、多くの大腸がんは「腺腫(せんしゅ)」という大腸ポリープから移行されると言われています。出血が起きる程度の大きさのポリープでしたら、便潜血検査で発見される可能性もあります。腺腫の段階で大腸ポリープを早期発見できれば、大腸がんへ移行する前に防ぐことができるのです。

サリバチェッカー「唾液によるがんリスク検査」

採取した唾液から、がんの疑いの有無を調べる検査です。唾液は血液・尿と同じように、患者様の現在の健康状態について多くの情報が得られる体液です。そのため、唾液は「身体の鏡」と呼ばれています。
検査方法は非常にシンプルで、唾液を数滴採るだけです。血液検査が苦手な方にとっても、受けられやすい検査かと思います。
また、本検査は1回受けるだけで、肺がんや大腸がん、膵がん、乳がん、口腔がんといった、数多くのがんリスクが判明します。
今までのがんリスク検査と比べて、早期発見できる可能性が高いため、現在話題になっている検査です。

※最新の医療技術を活用した新しい検査方法ですので、自由診療となります。
※単独で受けられた場合は 円(税込)になりますが、オプションを追加されますと 円(税込)で受けられます。

遅延型アレルギー検査

摂取した食べ物が引き金となり、症状が現れることに悩んでいる方は多くいらっしゃいます。
IgG依存性食物反応による症状は、摂取後すぐに症状が引き起こされるIgG依存性食物アレルギーとは違って、現れるまでに数時間~数日間もかかることがあります。
症状も人によって異なり、だるさや体重増加、湿疹、頭痛、関節痛、消化器症状など、多岐にわたります。
「アレルギーの原因となる食べ物を摂らない」または「ローテーションすることで頻繁に食べる回数を減らす」といった対処法を行うことで、これらの症状が改善・解消されるようになります。

IgG食物過敏の諸症状

  • 腹部膨満
  • 頭痛
  • 片頭痛
  • 便秘
  • 下痢
  • 胃炎
  • 関節痛
  • 湿疹
  • 皮膚掻痒(そうよう)
  • 喘息
  • 疲労感
  • 慢性疲労症候群
  • 線維筋痛症
  • 水分貯留
  • 過敏性腸症候群
  • 体重管理における問題
  • 炎症性腸疾患
  • 不眠
  • 精神的・感情的症状
  • うつ病
  • 不安(急性・慢性)
  • 注意欠陥障害
  • 多動性障害

腸内フローラ検査

人間の腸内には約100兆個もの腸内細菌が棲んでいて、種類は約1000種類にもなります。腸内細菌は私たち人間の身体と影響し合うことで、共生しています。
大腸内に腸内細菌が住みついている様子が花畑(Flora:フローラ)のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。
近年の研究において、腸内フローラは腸に関係する疾患(大腸がんや潰瘍性大腸炎など)だけではなく、糖尿病やアレルギー疾患、認知症、うつ病などの疾患とも関係しているのではないかと考えられています。
当院では、腸内フローラについて調べられる検査方法を導入しています。
便を少し採取していただくだけという、シンプルな検査方法で調べることが可能です。

腸内フローラ検査でわかること

  • 主要な腸内細菌の割合(ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸性生菌・エクオール産生菌など)
  • 患者様の腸のタイプ
  • 太りやすさの指標
  • 腸のバランス
  • 下痢や便秘のどちらになりやすい体質なのか
  • 大腸がんのリスクの高さ
  • 腸内フローラの変化(複数回検査を受けていただくと分かります)
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